7月
17
2007
新ジュスティーヌ
マルキ・ド・サド(著)/澁澤龍彦(訳)
内容(「BOOK」データベースより)
身も心も美徳に捧げ、美徳のために生きようとしたがために、悲惨な出来事に次次と遭遇し、不幸な結末をむかえる美少女ジュスティーヌ。悪徳に生きた姉ジュリエットの物語と対をなすこのジュスティーヌの物語には、三つの異本が存在するが、本書はその最後の稿にあたり、決定版ともいえるものである。より客観的な手法で、人間の根源的残酷さを描き尽し、思想の深まりを示すサド後期の傑作。
マルキ・ド・サドは名前の通り、SM行為における“S”の語源となっている人物。本作にはサド行為は勿論、スカトロ・肛門性交・近親相姦・夫婦交換(スワッピング)、ホモ・レズ行為等々、兎に角考えつく限りの淫蕩が描かれている。
身も心も美徳に捧げて生きていたいジュスティーヌを容赦なく蹂躙する、悪趣味極まりない変態達。ジュスティーヌ以外の人物は兎に角、変態行為しか考えていません(笑)。
本書は澁澤龍彦が翻訳を手がけており、サドの文学性は些かも損なわれていない。
そればかりか、兎角難解な海外作品を扱う澁澤氏のものとしては、たいへん読みやすい部類に入るのでオススメである。
この新ジュスティーヌ(本来は『美徳の不幸』を読むべきだが)と、ジュスティーヌとは対極をなす姉“ジュリエット”が主人公を務める『悪徳の栄え』は、必ずセットで読んでおきたい作品である。